2024年度第29回研究大会
第29回研究大会のご案内
今年度の研究大会は、7月6・7日(土・日)に國學院大學(渋谷キャンパス、5号館5201教室)にて対面とオンライン(Zoom)を併用して開催いたします。
大会一日目の午前は自由論題報告を、午後に歴史資料セッション「歴史資料としての音源」を行います。2日目に大会シンポジウム「近代東アジア空間の形成と日本の台湾出兵」を開催いたします。総会は1日目午後の歴史資料セッション終了後に対面・オンライン併用で行います。以下、全体のプログラムと歴史資料セッション・大会シンポジウムの趣意文を掲載いたします。会員の皆様には、ふるってご参加いただきますようお願い申し上げます。
参加費については、以下のとおりといたします。
対面参加 :会員1000円/非会員1500円
オンライン参加:会員1000円/非会員1500円
なお、本研究大会の参加申込方法や参加費徴収方法、懇親会関係の情報は別途学会事務局よりメールやHPにてお知らせいたします。
研究大会参加登録のご案内
第29回研究大会の参加登録等についてお知らせします。
参加費に関してましては、事前登録、事前入金ですので、以下のフォームで登録を行ったあと、6月25日(火曜)までに、指定された金融機関にご入金ください。
また、懇親会に関する情報は下記の通りです。参加フォームに事前参加予定欄もありますので、ご検討ください。
参加者数の概算をとるためです、当日参加も受け付けております。懇親会費は当日徴集いたします。
会場 國學院大學若木タワー18階、有栖川宮記念ホール
参加費 一般6000円、院生・学生3000円
参加フォーム
https://forms.gle/PjUuwKf6ztrjsfTQ9
期間が短い中での登録・入金になりますが、ふるってご参加ください。
大会プログラム
◆1日目(7月6日(土)/開場9:30)
10:00~10:05 開会の挨拶 檜山幸夫氏(東アジア近代史学会会長)
自由論題報告 10:10~11:50
司会 鈴木楠緒子氏(文部科学省)
10:10~10:40 「琉球処分」から近代東アジア・太平洋史を考察する
ティネロ・マルコ氏(神奈川大学)
司会 久保田裕次氏(国士舘大学)
10:45~11:15 なぜ帝国憲法から国土・地方制度が消滅したのか―伊藤博文の「日本」・「帝国」統治構想
白木澤涼子氏(北海道大学)
司会 佐々木雄一氏(明治学院大学)
11:20~11:50 軍事評論家の誕生:戦間期日本の国防政策と論壇
大窪有太氏(東京大学・院)
11:50~13:00 休憩・昼食
歴史資料セッション「歴史資料としての音源」 13:00~16:45
司会 岩壁義光氏(中京大学社会科学研究所)
13:00~13:05 趣旨説明・登壇者紹介 岩壁義光氏
13:10~14:00 歴史資料としての音源―音源の歴史・研究への活用の展望
長谷川怜氏(皇學館大学)
14:05~14:45 オーラルヒストリーにおける「音声」「声」「音」―証言映像の聞取り調査・収録を通して
木龍克己氏(元しょうけい館)
14:50~15:35 NHKアーカイブスにおける音源の保存と活用
田中清隆氏、山岸清之進(NHK知財センター アーカイブズ部)
15:35~15:45 休憩
15:45~16:45 総合討論
総 会 17:00~17:40
懇親会 18:00~20:00
◆2日目(7月7日(日)/開場9:30)
大会シンポジウム「近代東アジア空間の形成と日本の台湾出兵」 10:00~17:15
司会:松金公正氏(宇都宮大学)
10:00~10:05 趣旨説明 松金公正氏
問題提起と展望
10:05~10:45 台湾出兵/牡丹社事件(1871-1874)と東アジアの近代―研究史レビューからの問題提起と展望
春山明哲氏(早稲田大学台湾研究所)
個別報告 10:45~14:10
10:45~11:20 維新史上における台湾出兵―1874(明治7)年は空白の一年か
後藤新氏(武蔵野大学)
11:20~11:55 「各国的書、不能無相矛盾之処」―牡丹社事件交渉(1874年)における日清の主張や論拠についての若干の検討
望月直人氏(琉球大学)
11:55~13:00 休憩・昼食
13:00~13:35 1870年代前半の台湾の国際環境を考える―イギリス史料を中心に
鈴木悠氏(東海大学)
13:35~14:10 1874年牡丹事件の台湾戦場
呉密察氏(前国立故宮博物院)
14:10~14:25 休憩
自由討論者 14:25~15:45
14:25~14:45 大島明子氏(東京女子大学)
14:45~15:05 大里知子氏(法政大学)
15:05~15:25 羽根次郎氏(明治大学)
15:25~15:45 宮岡真央子氏(福岡大学)
15:45~16:00 休憩
16:00~17:15 全体討論
17:15~17:20 閉会の挨拶 東アジア近代史学会会長
趣旨文
◆大会シンポジウム 「近代東アジア空間の形成と日本の台湾出兵」
現在、東アジアの国際関係を論じる際に論点のひとつとなる台湾。そのような位置づけは東アジア近代史において、いったいどのくらい遡ることができるのであろうか。本学会では近代東アジア社会や国際秩序の形成についてこれまで多くの議論を重ねてきた。
150 年前の1874 年、日本は台湾先住民族(台湾原住民族)に対し軍事的作戦を展開する。日本では一般的に台湾出兵と呼ばれ、多くの人の知る歴史用語のひとつと言える。一方台湾では、出兵に至る経緯を含む一連の動きについては、主に牡丹社事件と称され、学校教育の中で取り扱われるばかりではなく、現地に牡丹社事件紀念公園や牡丹社事件故事館が設置されるなど、社会教育や地方観光行政の中でも重視されている。
しかしその一方で、研究上の位置づけを確認すると、これまで主に日本近代史、中国近代史、外交史、琉球沖縄史、台湾植民地史、台湾先住民族といった角度から研究が進められてきた。大久保時代の外交をめぐる国内要因との関連で言及するものや万国公法の適用事例として論じるもの、琉球の日清両属体制解消や日清戦争に至る過程の一部として論じるものなどがあった。また、台湾出兵後の台湾は、清仏戦争を経た1885 年の台湾省創設等、清による台湾経営が強化され、日本の影響力が台湾へすぐにもたらされたわけではなく、台湾出兵と日清戦争による台湾割譲の間には、連続性よりも断絶が目立つとされることが多い。また、1870 年代の琉球をめぐっておきた日清対立も、1880 年代になると、朝鮮半島に軸足が移動しており、台湾は日清対立の焦点ではなかったとされる。
このように台湾出兵がもたらしたインパクトを考えると、その後の展開への直接的な影響は見えにくく単発的な事象のように見える。しかしはたしてそうなのであろうか。台湾出兵から150 年を迎えるにあたり、改めて台湾出兵を巡る日本、清、欧米等、それぞれの動きを総合的に検討することにより、東アジアという歴史的空間にいかなる影響を与えたのかという点について考察するために、本シンポジウムを企画した。
はじめに、台湾出兵と東アジアの近代に関する研究史レビューを通じた問題提起と展望に関する報告を春山明哲氏より行い、研究史上の成果と課題の共有化をめざす。その後、4人の報告者からそれぞれの専門的視座から報告を行う。まず近代日本政治史の視角から後藤新氏による維新史上における台湾出兵に関する報告を、次いで中国史及び万国公法の視角から望月直人氏による日清交渉におけるそれぞれの主張や論拠についての検討を、更に欧米がこの事象をいかに捉えていたのかという視角から鈴木悠氏によるイギリス史料を中心にした台湾の国際環境の考察を、そして最後に台湾史の視角から呉密察氏による現地でいかなる行動や交渉があったのかについての報告を行う。
そして本シンポジウムでは、上記報告と密接に関連する専門分野から議論を展開する自由討論者を4名準備する。まず、征韓論との関係性から大島明子氏、次に琉球沖縄史の視角から大里知子氏、そして台湾史の視点から羽根次郎氏、最後にこの事件が現在いかなる事象として捉えられているのかについて人類学の視点から宮岡真央子氏に、それぞれの側面から見た台湾出兵の位置づけを論じ、それらを踏まえた上で、総合討論を行いたい。
本シンポジウムでは、台湾出兵を巡って台湾、日本、中国、東アジア等でいかなる動きが起き、その後何が継承され、どのような展開を見せるのかについて呈示する。そうすることにより、台湾出兵を東アジアという歴史的空間が形成されていく際の複数の潮流のなかの1つの起点として位置づけ、歴史的な東アジア世界が近代国際社会へと変容する過程における「変容」の具体化を目指す。そのために、参加者を含め活発な議論をおこなっていきたい。
◆歴史資料セッション「歴史資料としての音源」
近代史研究には主に文書や書簡・日記などの一次資料が用いられますが、近年は新聞や雑誌などの活字資料、また写真や映像など様々な歴史資料に着目した研究成果も数多く生み出されています。これまでの歴史資料セッションでは、文字以外の資料にも積極的に議論の幅を広げ、「地の記憶―石に刻まれた歴史」(2017)、「歴史資料としての写真 ―『写真』からアーカイブズへの模索―」(2018)、「戦争関連資料の収集・保存・公開−国民の共有すべき歴史的文化遺産をどう残すのか−」(2023)を開催し、様々な角度から検討を加えてきました。
今年度のセッションでは、これまで言及されたことがなかった資料の1 つとして「音」に注目して議論を行い、歴史資料としての価値を提示すると共に、保存と公開の課題まで幅広く議論します。なお、国立国会図書館はデジタル化したレコードの音声を「音源」、NHK は「録音資料」と呼称していますが、本セッションでは録音された媒体と音そのものを示す用語として「音源」を使用することとします。
視覚と共に聴覚は生活空間の中で重要な情報伝達手段であり、人々が耳にし、発していた様々な音なくしては、その時代・空間を本当に理解することは困難です。音源は場合によっては文字以上にその時代や空間を文字通り「物語る」歴史資料であるといえます。しかしながら、音は一過性のものであり二度と再現することができません。
再現不可能=誰もがアクセスできないものは歴史研究における根拠・証拠とはなりませんが、1877 年にエジソンが蓄音機とレコードを発明して以来、様々な音が録音されるようになりました。SP レコード、LP レコード、テープ、CD、デジタル録音など音源を記録・再生する媒体は時代と共に変化しましたが、過去150 年を対象とする歴史研究においては、歴史資料として音源を用いることができます。音源には、どこでも、繰り返し聴取できることに加え、複製されることによって伝えたい情報を増幅させ、長期的に情報を発信することが可能であるという特性があります。音源の持つ反復性は音楽の分野では流行歌を生み、音楽ビジネスを開拓することになりました。また音声は文字以上に言葉に感情を込めて伝えることができるため、政治家は自身の主張をレコードに吹込んで聴衆に語りかけました。録音された音源は場所や時間を問わず繰り返し聴取され、宣伝やプロパガンダの効果を高めました。
歴史の中では音楽や演説・講演にとどまらず、伝統芸能、実況放送、ドラマ、観光案内、行政の広報、学習教材、宗教の詠唱、人々の語りなどが様々な目的を持って録音され多様な役割を果たしてきました。本来は消え去ってしまう「音」を時間的・空間的に留まらせたという点で、歴史における音源の存在感は大きいといえます。音源を文字資料や図画像資料などと組み合わせることにより立体的な歴史把握が可能となるほか、文字化できず音源からしか得ることができない情報(メロディーや効果音など)も含まれていることから、歴史研究はもちろん言語学など多様な分野での活用が図れるほか、教育現場における歴史学習や博物館の展示・教育普及においても音源が果たす役割は大きいといえるでしょう。ただし、歴史研究においては音源が等閑視されているとまでは言いませんが、音源をどう資料として扱うのか、音源から何が読み取れるのか、文字資料との違いはどういった点にあるのか、といった諸点が十分に議論されているとはいえません。
さらに、音源をいかに保存していくのかという課題に対する共通理解や解答は存在しないのが現状です。ここでいう「保存」には2 種類の意味が存在します。1 つは過去に録音された媒体を適切な環境で保護し広く活用できるようにデジタル化して公開するという意味であり、2 つ目は、人々の語りをはじめとする今現在の音が将来的に歴史研究の素材になるという観点から録音を行い将来に伝えていくということです。後者については、オーラルヒストリーを除くと歴史学の研究者や歴史系の博物館が音源を将来のために保存する活動を積極的に行っているとは言い難い現状があります。
以上のような音源をめぐる諸問題を踏まえて、今年度のセッションでは、①音源の持つ歴史資料としての価値の再確認と歴史研究への活用、②音源を聴くことの意味・音源の持つ力、③音源を保存する上での課題、という3 点から議論を行います。
第一報告では、セッション担当者の長谷川怜氏より音源にはいかなる媒体と類型があるのか、何が残されてきた/残されてこなかったのか、を紹介した上で音源を用いた研究の新たな可能性、歴史資料としての重要性を提示します。
第二報告では木龍克己氏(元しょうけい館(戦傷病者史料館)学芸課長)から、オーラルヒストリーの分野において音を聴くことによって何が得られるのか、またどのような点に注意して音源を聴くことが研究素材としての音源の効果的な活用につながるのかなどについてご報告頂きます。
第三報告では、NHKアーカイブスで音源の保存と活用の実務に携わる田中清隆氏/山岸清之進氏から公開・利用の課題やデジタル化の方法など音源資料の保存と活用をめぐる諸問題についてお話し頂きます。
***********連絡先***********
〒180-8629 東京都武蔵野市境5-8
亜細亜大学国際関係学部 青山研究室内
東アジア近代史学会事務局
E-mail:modern_east_asia_jm"X"hotmail.co.jp
※"X"を「@」に置き換えてください。
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