2026年度第31回研究大会情報

第31回研究大会

 今年度の研究大会は、7月4・5日(土・日)亜細亜大学武蔵野キャンパス(200教室、2号館1階)にて対面とオンライン(Zoom)を併用して開催いたします。
 大会1日目は自由論題報告と歴史資料セッション「災害写真は何を伝えるか―関東大震災を中心に―」を、2日目は大会シンポジウム「ワシントン会議『後』の東アジアの国際関係─ワシントン体制の内と外から─」を開催いたします。総会は1日目午後の歴史資料セッション終了後に対面・オンライン併用で行います。以下、全体のプログラムと歴史資料セッション・大会シンポジウムの趣旨文を掲載いたします。会員の皆様には、ふるってご参加いただきますようお願い申し上げます。
 参加費については、以下のとおりといたします。いずれも下記の「大会参加登録」フォームより登録していただいた後に、フォームに掲載したお振り込み先に事前入金をお願いしております。ご了承ください。
   対面参加 :会員1000円/非会員1500円
   オンライン参加:会員1000円/非会員1500円
   資料代:1000円(対面参加者で希望者のみ。事前申し込み必要)
大会参加登録について
大会に対面・オンラインに関係なく以下のフォームから事前登録をお願い申し上げます。
なお、大会参加費のお振り込み先の詳細は、フォームにございます。ご確認ください。当日、紙資料をご希望の方及び懇親会費につきましては、大会当日、受付にてお支払いください。
大会参加フォーム
https://forms.gle/tCp1yUAPP3eBxGxt7  

プログラム

※敬称略
プログラムPDF版はこちらクリックしてください。
◆1日目(7月4日(土)/10:30~ 受付は10:00から)
10:30~10:40 開会挨拶 檜山幸夫(東アジア近代史学会会長)
自由論題報告 10:40~12:10
司会 鈴木楠緒子(文部科学省)
10:40~11:10 日本海湖水化論の再検討―島根県と東アジアの近代―    杉谷直哉(京都文教大学)
11:10~11:40 日系在華中国語新聞『順天時報』廃刊前後の再検証
         ―ボイコットから復活計画まで(1928~1935年)―    青山治世(亜細亜大学)
11:40~12:10 万宝山事件再考―満洲現地社会の視座から―        金 子豊(京都大学・院)
12:10~13:10 休憩・昼食(理事会)
歴史資料セッション「災害写真は何を伝えるか―関東大震災を中心に―」13:10~16:45
司会 岩壁義光(中京大学)
13:10~13:15 趣旨説明  長谷川 怜(皇學館大学)
13:15~13:55 関東大震災をめぐる図画像資料の研究活用
         ―水野勝邦〈震災アルバム〉を中心に―          長谷川 怜
13:55~14:35 関東大震災と画像情報の伝播―通信社撮影写真を中心に―  吉田律人(横浜都市発展記念館)
14:35~15:15 ガラス乾板写真の超高精細・カラー化から見えるもの(仮) 落合 淳(NHK エデュケーショナル)
15:15~15:35 休憩
15:35~16:45 総合討論 司会 東山京子(中京大学)・岩壁義光
総 会 17:00~17:40
懇親会 18:00~20:00

◆2日目(7月5日(日)/10:40~ 受付は10:00から)
大会シンポジウム「ワシントン会議『後』の東アジアの国際関係─ワシントン体制の内と外から─」 10:40~17:00
司会 中谷直司(帝京大学)・久保田裕次(国士舘大学)
10:40~10:50 趣旨説明 中谷直司
10:50~11:20 平和の『作り方』をめぐる米国内の分裂とワシントン体制
         ─チャールズ・E・ヒューズのアメリカ国際法学会演説(1925)を軸として─
                                    中谷直司
11:20~11:50 五・三〇事件前後における幣原外交と在華紡の変容     渡辺千尋(東洋大学)
11:50~13:00 休憩・昼食(理事会)
13:00~13:30 戦間期日本外務省における政策路線の分化
         ─組織・人事・執務空間と政策派閥の形成─       矢嶋 光(名城大学)
13:30~14:00 戦間期における製糖業の対アジア資本輸出         平井健介(甲南大学)
14:00~14:10 休憩
14:10~14:40 シベリア出兵とワシントン体制              兎内勇津流(北海道大学)
14:40~15:10 第一次世界大戦後の東アジアに国際秩序は成立したか?
         ─ヨーロッパとの比較の視座―             藤山一樹(大阪大学)
15:10~15:20 休憩
15:20~15:40 コメント1 黒沢文貴(東京女子大学名誉教授)
15:40~16:00 コメント2 小池 求(亜細亜大学)
16:00~17:00 全体討論
17:00~17:10 閉会挨拶 東アジア近代史学会会長

趣 旨 文

◆大会シンポジウム 「ワシントン会議『後』の東アジアの国際関係─ワシントン体制の内と外から─」
  近年、戦間期の東アジア秩序の特質をめぐる議論が再び活発化している。ただし、中核となる論点は、この問題の金字塔であるAkira Iriye, After Imperialism(1965)(入江昭『極東新秩序の摸索』1968)以来、変わっていない。人類初の総力戦である第一次世界大戦(1914-1918 年)を教訓に、主要海軍国の軍備管理と中国の不平等状態の漸進的な改善を条約化した1921-22 年のワシントン会議を境として、東アジアの国際政治と関係国の対外政策は、大戦前とは異なる性質を身に付けたか否かである。
 書名が示すように、入江のAfter Imperialismは、国際秩序と外交の転換を肯定した。ワシントン会議では、開放的な政治・経済原則に基づき勢力均衡外交の克服を目指す「アメリカのイニシアティブの下に一つの秩序が作られた」のである。
 ただし、特に中国をめぐっては、関税自主権の承認・治外法権の撤廃を眼目とする国権回復は、ワシントン会議で実現しなかった。くわえて、勢力均衡型の外交に代わって国際関係を安定させるはずの開放的な世界経済構想と海軍軍縮も、1920 年代末から30 年代半ばにかけて破綻した。こうした限界を踏まえて、2022 年度本学会の大会シンポジウム「1920年代の東アジアにおける多様な世界像」では、ワシントン体制が「中国から見れば、英米日などによる利権の相互承認、現状維持に過ぎなかった」ことを前提に、中国を含む多様な主体が持つ秩序観の「対峙・相克・共鳴」を議論した。
 同時に、大戦後の東アジア秩序の方向性を左右するすべての課題が、ワシントン会議の協議に十分に包摂されていたわけではない。たとえば、ワシントン諸条約と国際連盟をどう調整するのか、軍縮や中国問題でソビエトロシア(1922 年12 月よりソ連)との協力を政策的に追求するのか否か、中国市場にとどまらない国際経済をいかに安定させるのかなどである。まさに、2019 年度大会シンポジウム「第一次世界大戦後の東アジアと秩序の変容」の趣旨文がいうように、「大戦はさまざまな領域に変化をもたらし、それらは相互に影響し合った」のである。さらに、ワシントン諸条約の締結時には十分に織り込まれなかった展開も1920 年代の後半に生じるようになった。最たるものは、少なくとも日本側にとっては想定を大きく上回った、日中間の政治的・経済的な利益の衝突や摩擦である。
 そもそも、新秩序の建設は、ワシントン会議で完了するものではなく、その後も継続するというのが、参加国の基本的な共通理解だった。入江のAfter Imperialismが、会議で結ばれた諸条約を軸に、関係国は「『経済外交』を基盤とする新しい相互依存関係を東アジアに」(傍点は引用者)と指摘するのも、このためだろう。包摂性についても同様であり、中でも中国関係の条約を支持する国家を増加させる必要性が、米英の外交当局者を中心に意識されていた。ワシントン諸条約と他の国際制度との接合も同様である。
 よって、今回のシンポジウムでは、既述の過去の成果を踏まえながら、ワシントン会議後も続けられた新秩序の建設と拡張の努力や、その障碍に目を向ける(中谷直司報告)。そうした努力の中で、会議時に十分に想定されなかった課題への対処がどのように図られたのかも重要な問題関心である(渡辺千尋報告、矢嶋光報告)。同時に、ワシントン諸条約には直接規定されない国際経済の変容にも光を当てる(平井健介報告)。その上で、ワシントン体制外のアクターとの相互作用の検討やヨーロッパとの比較を通じて、第一次大戦後の東アジア国際関係の特徴を浮かび上がらせる(兎内勇津流報告、藤山一樹報告)。以上の6 報告に対しては、日本政治外交史の立場から黒沢文貴氏が、東アジア国際政治史の立場から小池求氏がコメントを行い、論点・課題を明確化する。その上で全体討論を実施し、ワシントン会議後の東アジア国際関係の新たな特質を明らかにする。
 なお、ワシントン諸条約を中心とした東アジアの国際関係・秩序を示す「ワシントン体制」という用語には批判も多い。「体制」と呼びうるような確固とした新秩序は成立しなかったのではないかとの問題意識からである。ただし、この用語を軸に重要な先行研究が蓄積されてきたことも事実である。このため、本シンポジウムでは、ワシントン体制を前提としつつ、そこに必ずしも含まれない問題も検討することで、従来のワシントン体制論の成果をあるいは批判的に継承し、あるいは乗りこえて、新たな研究の方向性を提示することを目指す。
                                       大会シンポジウム実行委員会

◆歴史資料セッション「災害写真は何を伝えるか―関東大震災を中心に―」
 これまでの歴史資料セッションでは、活字資料に留まらず多様な資料を積極的に議論の俎上に載せてきました。「地の記憶―石に刻まれた歴史」(2017)では碑文を、「歴史資料としての写真 ―『写真』からアーカイブズへの模索―」(2018)では写真を、「戦争関連資料の収集・保存・公開」(2023)では戦争を記憶する遺品や道具など戦時下の資料を、また「歴史資料としての音源」(2024)では記録された音源に光を当てました。2018 年のセッションでは、写真を「歴史資料」として捉え、どのような視角から分析をするべきなのかを議論しましたが、今年度のセッションでは写真資料の中でも大惨事を記録した写真に注目し、その歴史資料としての価値や、情報の読み取り方、そして保存と研究への活用の課題について議論します。大惨事というと戦災も含まれますが、ここでは不可抗力の出来事であり、メディアや個人によって積極的に記録・拡散される対象であった災害を取り上げます。とりわけ、分析材料となる資料=災害写真の件数が最も多く、なおかつ全国的に大きな衝撃を与えた出来事である関東大震災にフォーカスします。
 災害写真は、文字情報だけでは把握しにくい大惨事の広がりや現場の状況を視覚的に伝える資料であり、災害の経験を同時代の人々がどのように理解・共有し、後世の人々に記憶として伝えていったのかを考える上で欠かすことができません。また、関東大震災は日本最大の都市である東京と横浜という二つの都市が壊滅した未曽有の災害であり、メディアや個人によって膨大な写真が撮影されました。近年も、被災直後に東京市中を巡って撮影された個人による写真が新たに発見されるなど、資料の裾野は広がり続けています。
 一方で、災害写真には「表象の操作」という問題も存在します。別の写真にもっともらしいキャプションを付したフェイク写真や、別地点で撮影されたにも関わらず特定の場所の記録として流布させた例、加筆を施した絵葉書など、写真の信憑性を揺るがす事例も少なくありません。写真は必ずしも「真実」ではなくイメージを意味づけたり、心証を操作するためにも利用されたりしてきたという点を踏まえ、資料批判を行う必要があります。
災害写真はまた、撮影主体や媒体によって役割が大きく異なります。宮内公文書館に残る災害写真は、皇室への情報伝達や救恤の契機となったといえますし、陸軍が撮影した空中写真は被災地の面的な広がりを客観的に示すメディアでした。空中写真は一般にも公開されましたが、広域の視点を提供することにより、個人の経験としての震災ではなく、近代都市が破壊されるという共通の歴史認識を広める役割を果たしたといえるでしょう。
 さらに、写真以外のビジュアルメディアとしては、裕仁親王の被災地巡視を描いた絵画、石版画や鳥瞰図などの視覚表現も、写真と同様に関東大震災のイメージ形成に重要な役割を果たしました。写真と同じアングルを用いながらより劇的に描かれた絵画作品も知られており、視覚表象が人々の災害イメージの形成に与えた影響は大きかったといえます。
 以上のように、関東大震災がどのように報道され、人々が何に目を向け、どのような場面が共有されていき、社会に対して「震災」という経験がどう作用したのかを考える際、写真の分析は不可欠です。写真は複製され流通することで震災の記憶の共通イメージを形成したと共に、復興後の光景と対比されることにより日本社会が大惨事を乗り越えて発展しているという人々の認識を強化する役割も担ったといえるでしょう。
 災害写真からは多くの論点を抽出することができますが、歴史資料としてどのように扱うべきか、そもそも何が読み取れるのか、文字資料との違いはどこにあるのか、といった点について、必ずしも十分な議論が行われてきたとはいえません。災害写真の保存・公開のあり方、撮影媒体や技術の変遷を踏まえた資料の評価など、検討すべき課題も多く残されています。また、近年は研究を踏まえて、古写真の高精細デジタル化や、カラー化が各所で進められています。高精細の画像は時に驚くほどの情報量を現代の私たちに提供し、新たな発見が生まれます。高精細化、そしてカラー化を行うことで何が見えてくるのか、どのような点に注意が必要であるかを十分に理解した上で、写真資料の持つ歴史資料としての可能性を今後考えていくべきでしょう。
 以上の問題意識を踏まえ、今年度のセッションでは、①災害写真の持つ歴史資料としての価値と読み取りの方法、②災害写真が形成してきた震災イメージの拡がりと社会的記憶のありよう、③災害写真のデジタル化・カラー化による可能性・課題・将来に向けた展望という3 つの観点から議論を行います。
 第一報告は長谷川怜(皇學館大学)より「関東大震災をめぐる図画像資料の研究活用―水野勝邦〈震災アルバム〉を中心に」と題し、近年新たに発見された個人による関東大震アルバム(水野勝邦関東大震災アルバム:千代田区指定有形文化財)の概要を示すと共に、災害写真が何を写し、何を伝えてきたのかという見る側のまなざしと被写体の関係を整理します。また、偽写真や加工表現を含む資料の存在についても検討し、歴史資料として分析の俎上に載せるための問題点・注意点を指摘します。
 第二報告は吉田律人(横浜都市発展記念館)より「関東大震災と画像情報の伝播―通信社撮影写真を中心に―」と題し、震災を撮影した写真が当時、被災地からどのように周囲へ伝播していったのか、離れた場所で被災地の状況がどのように認識されていたのかを通信社撮影写真を中心に検討し、災害写真を分析するための方法論や視角を提示します。
 第三報告は落合淳(NHK エデュケーショナル)より 「ガラス乾板写真の超高精細・カラー化から見えるもの(仮題)」と題して、災害写真の高精細データ化とカラー化の現状と課題を整理した上で、デジタル化による利点や、カラー化することによって何が新たに見えてくるのか、どのように画像に含まれる情報を解析・分析するのか、という諸点について実例を挙げながら、作業に携わった経験を踏まえて紹介し、活用に向けた議論の素地を整えます。

***********連絡先***********
〒180-8629 東京都武蔵野市境5-8
亜細亜大学国際関係学部 青山研究室内
東アジア近代史学会事務局
E-mail:modern_east_asia_jm"X"hotmail.co.jp
※"X"を「@」に置き換えてください。

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