2025年度第30回研究大会情報
第30回研究大会
日 程:2025年7月5・6日(土・日)
方 法:対面・オンライン併用/ 事前申込制
場 所:対面参加=学習院大学
5日午前(自由論題報告) 北1号館308教室
5日午後(歴史資料セッション)および6日(全日) 北1号館201教室
オンライン参加=Zoom
参加費:対面参加: 会員1000円 / 非会員1500円
オンライン参加: 会員1000円/非会員1500円
資料代:1000円(対面参加者で希望者のみ。事前申し込み必要)
大会資料データとオンライン参加用のURLは前日までに送信します。
参加申し込みURL:https://forms.gle/TFRpaJMHEhg5cGE28(対面・オンラインともに)
締切 6月22日(火)
第30回研究大会プログラム
◆1日目(7月5日(土))
開会挨拶 10時30分~10時40分 檜山幸夫(東アジア近代史学会会長)
自由論題報告 10時40分~12時10分(1人報告25分・質疑5分)
司会:鈴木楠緒子(文部科学省)
『清議報』日本語翻訳記事から見た領土関連語彙の導入―「領土」「領地」「版図」の比較を中心に―
古谷創(明治大学・院)
越境する大正の自由主義―浮田和民と張徳秀における人格、立憲政治、フランス革命―
金鎮燁(東京大学・院)
司会:久保田裕次氏(国士舘大学)
中国共産党の「労農兵代表会議(ソビエト)」構想
吉⽥和樹(⼤連外国語⼤学)
休憩・昼食 12時10分~13時10分(理事会)
歴史資料セッション 「戦争関連資料の保存と継承―戦後80年に考える―」
※<趣旨文PDF>=>ここをクリックしてください
13時10分~16時45分
司会:岩壁義光(中京大学)
趣旨説明 東山京子(中京大学)
民間団体における資料館の運営と収集資料の活用について
寺沢秀文、三沢亜紀(満蒙開拓平和記念館)
遺族会解散後の資料の取り扱いと戦争記念碑・慰霊碑の保存と活用について
元杭和則(愛知縣護國神社)
東京都区部の区立博物館における戦争関連資料の収集と活用について-墨田区を中心に-
石橋星志(すみだ郷土文化資料館)
総合討論 司会:長谷川怜(皇學館大学)
総会(対面・オンライン併用) 17時~17時40分
懇親会 18時~20時(6000円)
◆2日目(7月6日(日))
自由論題報告 10時00分~11時00分(1人報告25分・質疑5分)
司会:鈴木鉄造(中京大学)
第一次世界大戦期、イギリスによる華工の徴募・雇用をめぐる宣教師の利用について
古泉達矢(金沢大学)
植民地期から「戦後」台湾における女性の思想形成と政治活動―ある台湾人女性のライフヒストリーからの考察―(仮)
松田京子(南山大学)
大会シンポジウム 「日清戦争後の世界―The Aftermath of the First Sino-Japanese War―」
※<趣旨文PDF>=>ここをクリックしてください
11時10分~16時45分
司会:古結諒子(大阪大学)、小池求(亜細亜大学)
趣旨説明 古結諒子
中国における日清戦争研究の現状:山東大学・日清戦争130周年国際シンポジウムを中心に
郭 海燕(日本大学)
韓国における日清戦争研究の動向について
李 穂枝(東海大学)
東アジア経済史の視点から見た日清戦争―近代台湾の経済変遷分析を例として―
林 文凱(台湾・中央研究院)オンライン
休憩・昼食12:30~13:30
門戸開放と勢力圏―日清戦争後の東アジアにおけるイギリス外交 1895-1910年―
菅原健志(愛媛大学)
日独戦争への道 田嶋信雄(成城大学名誉教授)
青年トルコ人革命と康有為―「突厥游記」にみる日清戦争後の世界―
佐々木紳(成蹊大学)
コメント1 大日方純夫(早稲田大学名誉教授)
コメント2 岡本隆司(早稲田大学)
全体討論
閉会の挨拶 檜山幸夫
趣旨文:大会シンポジウム 「日清戦争後の世界―The Aftermath of the First Sino-Japanese War―」
今年、東アジア近代史学会は創立30周年の節目を迎える。本学会は、1994年11月に開催された日清戦争100周年国内シンポジウム、および1995年5月の国際シンポジウムを契機として、1995年12月8日の学会設立総会により発足した。本年は日清戦争終結130年目の節目にもあたる。
創立以降、本学会は日清戦争およびそれに関連する歴史的題材をテーマにシンポジウムや月例会を開き、研究交流の場を提供してきた。しかし、創立当時には西洋史研究者の参加を意識していたにも拘らず、これまでアジア域外に軸足を置く研究者が報告する機会は限定的であった。創立後、学会名に掲げられた「東アジア」は地域概念としてのイメージが先行し、歴史空間としての捉えなおしが課題となっていた。
そこで、本シンポジウムでは、東アジアを域内で閉じられた空間としてではなく、世界を構成する一つの開かれた歴史空間として定置し、日清戦争がもたらした国際的な変動に焦点をあてたい。
日清戦争は世界的に、日本が勝ったことよりも清が負けたことのインパクトが大きかった。戦場は朝鮮半島、中国東北部、台湾に集中したが、関心度の相違はあれど、戦争に注目していたのは東アジア諸国に限定されなかった。下関条約に基づく軍費賠償金の支払いをはじめ、その影響は世界各国の政治・経済・外交にも波及し、後の義和団事件、日露戦争、韓国併合、辛亥革命、第一次世界大戦、さらには現代の歴史認識問題にも影を落とす。これらは本学会がシンポジウム等で取り組んできたテーマでもある。今回は改めて、日本国外における研究動向を確認すると同時に、日清戦争後の世界を顧みたい。
シンポジウムでは、次の報告を予定している。郭海燕氏(日本大学)は中国における日清戦争研究の現状を報告する。李穂枝氏(東海大学)は、韓国における日清戦争研究の動向について、東学農民戦争や甲午改革も含めて整理する。林文凱氏(台湾・中央研究院)は、台湾の経済変遷分析を介して、経済史の視点から見た日清戦争について論じる。菅原健志氏(愛媛大学)は、日清戦争後のイギリスの東アジア外交について、門戸開放と勢力圏を中心に考察する。田嶋信雄氏(成城大学名誉教授)は、日独戦争への道筋についてたどり、日清戦争後の国際関係を描き出す。佐々木紳氏(成蹊大学)は、康有為の「突厥游記」の視点から、トルコでの日清戦争後の世界の捉え方を報告する。
コメンテーターは、近代日本の国内政治動向を世界史の一環として意識する大日方純夫氏(早稲田大学名誉教授)、そして、日清戦争を世界史の分水嶺として注目する岡本隆司氏(早稲田大学)が担当する。また、会場やオンラインで参加されている皆様にも、個人の関心と問題意識に基づく問いの提示や応答を通じて、議論に積極的にご参加いただきたい。
日本の高校教育では必修科目「歴史総合」が導入され、その履修を経た最初の世代が本年大学に入学した。こうした教育課程の変化は、歴史研究においても日清戦争後に形作られた日本史・東洋史・西洋史といった既存の枠組みを融合する視点の提示を促す。とくに、日本を叙述する立場からすれば、日本と世界とのつながりがいかなるものであったか、それをどのような視点から捉え直すのかが課題となる。こうした課題に向き合う上でも、東アジアと世界との接点を照らす日清戦争は、格好の題材となる。
本学会が30周年を迎える本年のシンポジウムを契機に、これまでの研究の進展を振り返ると同時に、東アジア近代史研究の外縁を拡げ、歴史研究の新たな展望を導く場となることに期待したい。
趣旨文:歴史資料セッション「戦争関連資料の保存と継承―戦後80年に考える―」
歴史資料セッションでは、個々人の実体験と深く関係した「戦争関連資料」をいかに未来に伝え残していくのかを主題に二度にわたりセッションを企画してきました。
2023年度には、「戦争関連資料の収集・保存・公開―国民の共有すべき歴史的文化遺産をどう残すのか―」をテーマとして、名古屋・金沢・前橋の三市を取り上げ、地域と結びついた博物館の「資料の収集保存公開」や「地域における資料の保存管理」の状況報告から、また自治体の「地域の歴史」を引き継ぐ「資料館建設」の活動から、「戦争関連資料」の継承と問題点を検討しました。
また、2024年度は歴史資料のなかでも近年関心が高まりつつある「音」に着目しました。語り部による「証言」記録のみならず、当時の人々が直接耳にした時代を伝える音、音楽など、文字では表現しにくいが時代の持つ雰囲気や情景、状況を直接伝える「音」の特殊性に鑑み、「音」の持つ史料的価値について考察しました。
本セッションが特に重視してきた「戦争関連資料」は、個々人の実体験に深く関わる資料で、その残存形態も多様です。脳裏に書き込まれた記憶の語りであったり、日記や手紙などの私的な史料であったり、また写真・映像・絵画・音であったり、意志表現としての記念碑・慰霊碑などであったりします。こうした資料は、政府や関連機関が作成した文書が公の遺産として制度的に残されていくのとは異なり、その多くは個人的な所有物として歴史的価値も認識されないままに廃棄され、また単なる「もの」として歴史の流れのなかに埋もれてしまう運命にあります。しかし、歴史の実態を知るには公的な記録と、そこには記録されにくい人々の息づかいを記した記録とをあわせ見ることが不可欠であることは言うまでもありません。
こうしたことから、2025年度は戦後80年を念頭に、時間的経過が齎す宿命的課題について検討を加えてみたいとおもいます。すなわち、ひとつはオーラルヒストリーが直面する戦争体験者の減少という今日的課題について。もう一つは個人の私的な思い出の「もの」と地域史の再構築の問題です。個人にとっての思い出の「もの」が潜在的にもつ歴史的価値を顕在化させることで、その時代や地域を理解する重要な手懸かりとなる歴史資料の重要性と歴史研究者の役割について考えてみる企画です。
報告者は、第一報告では長野県阿智村の満蒙開拓平和記念館館長寺沢秀文氏および三沢亜紀事務局長から所蔵する関係資料の多くが同館の開館を契機に開拓団の関係者から寄贈され、以降、満蒙開拓団関係資料の収集拠点となっていった経緯や現状の活動、問題について報告いただきます。
第二は、愛知縣護國神社嘱託の元杭和則氏から愛知県を事例に、戦争関連の記念碑や慰霊碑等の維持管理と遺族会関係資料の保存管理について現状と課題について報告いただきます。戦後75年を過ぎた頃から、遺族会を解散する自治体が増加し、遺族会関連資料の廃棄や散逸が全国的に常態化しました。これに伴い同会管理の戦争記念碑や戦争慰霊碑等の維持に支障が生じている現状、遺族会資料と記念碑等の「もの」資料の保存と活用について報告いただきます。
第三は、東京都墨田区のすみだ郷土文化資料館学芸員石橋星志氏から東京二十三区における東京大空襲を主なテーマとした郷土資料や証言の収集と活用について報告いただきます。墨田区は区史が不十分な上、区民の移動が激しいという課題がある中で、公的な資料の活用や体験者などからの資料提供とそれらを組み合わせた活用方法について取り上げます。
報告後の討論では、それぞれ報告の資料収集と保存、活用と取り組みと歴史研究者の役割と位置づけについて、議論していきます。
***********連絡先***********
〒180-8629 東京都武蔵野市境5-8
亜細亜大学国際関係学部 青山研究室内
東アジア近代史学会事務局
E-mail:modern_east_asia_jm"X"hotmail.co.jp
※"X"を「@」に置き換えてください。
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